よはくのものづくり 杢グレー
毎年、定番以外の季節素材をいくつか作っている。
いつも出来上がった生地を見て、それからその生地にあった形を考えはじめる。
そうすると素材にストレスがかからないかなと思ってる。
一般的には、デザインから考えて、そのイメージに近い生地を探して、それで服を作っていくから、素材の機能はあまり見ていない事が多くて、形とかデザインの優先度が高くなる。
素材の特性、特徴を知らずに、あくまでトレンドのものを作ると、結果的に長く着なくなってしまう可能性が高い。
素材と形が合ってないと着づらかったり、あきちゃったりしちゃう。だから、自分たちでかならず着て、経験を更新するのを大事にしている。
素材を新しく作るときは、生地やさんに行き、生地見本を見せてもらって、定番の布もあるんだけど、それはたくさん出回ってるから、そしたら 裏は茶綿にしたほうがいいんじゃないかなと思って、yohakuの素材はつくっている。
例えば、裏茶綿の表トップ(杢調の生地)が好きな理由は、
どこまでも均質性がないから。
注:トップ糸とは”綿染め”をした糸。 糸になる前の綿(わた)の状態で染めたもの。 綿染めを施すことで糸自体に自然なムラが生まれ、その糸を使って編むことで、味わい深い色合いの生地が生まれる。
裏側の茶綿は染色していない自然な色だから、濃淡があって、マットじゃないし日焼けもするし、すごく自然物に近い。
木とか葉っぱに近いなと思う。
だから茶綿が好き。
トップグレー(トップ糸の杢グレー)ってどこまでも べたじゃないから、ずっとランダムな状態がつづいている。
それがつづく(連続性になる)とそれがべたに変わる(見える)こともあるからそれも面白いと思う。
あと、バージンコットンといわれている、綿のままと染色したグレーをまぜて作っているから、後染めの糸よりも風合いがとてもいい。
グレーの黒いとびとびがアットランダムに入っているのが、自然的でいいなと思う。
だからこの生地はこの色しかつくってない。
どこまでも安定しない、というのが僕は好きなんです。
同じトレーナーを横にならべても よく見たら同じじゃない。
そして、
縫う人たち、生地屋さんにもストレスがかからないように発注して作ってる。
トップの糸と裏の糸の色だけ決めて、
それで吊り編みっていう条件だけだして、あとは生地屋さんにまかせている。
吊り編み機が混んでるって言われたから、その時空いている吊り編み機に入れてくださいって言った。
そしたら空いてる吊り編みに入れてくれて、動いてない機械を稼働させてつくってる。
だから、どこにもストレスがかからないで、これは生まれてくる。
パタンナーさんも、服のアウトラインを伝えて、縫製仕様とか細かいところはおまかせだし、
縫製も縫いづらいって言われたら、やり易いようにすぐに変えてもらってる。
そうすると現場もそれのまま流れていく。
とにかく、生産の流れが詰まらないように、考えてやっている。
それもあくまで自然のながれで、現場のペースでぜんぶ直せるように、僕がこうしてというのは、とくにない。
ある程度身をゆだねて、作るようにしている
それは売る場所もおなじ。
それが着心地につながるかはわからないけど そういうことをずっとやっている。
こうしてできた素材
「茶綿吊り裏毛 サンドベージュ杢」
羽織りとトレーナーをつくりました。
しっかりもちもちでありながら、茶綿のふわふわ感、どこまでもランダムな杢グレー
都会にも自然にもなじみそうな やさしい色合いです