プレステージ(Prestige) 記憶にのこる気持ち良さ
昔、ギザ45という生地があって、
GIZA(ギザ)は最高級綿の1つエジプト綿の品種で、地域ごとにGIZA45やGIZA70、GIZA88など開発順に番号が付けられていて、その中でも最高とされるのが45番だった。
種もずっと育てていると進化なのか、だんだん変わっていくのと、その番号の綿の最大量は決まっているんだけど、GIZA45をあるハイブランドのTシャツに使っていて、当時自分が下請けで作っていたブランドさんにも使いたいと言われて、日本で作れる紡績屋さんを探して、ゲージを調べてみたら、ちょっとゆるめの32番反ていう、けっこう珍しい番手(太さ)の糸だった。
それを糸から別注をかけて生地を作って、そのときに僕もそのTシャツをいちばん着ていて、肌触りもすごく気持ち良くてずっと記憶に残っていた。
2~3年前に、大正紡績さんで「プレステージ」という糸の残糸があるのを聞いて、これが大正紡績さんがお客さんからGIZA45に近い糸を作って欲しいと頼まれて、スビンゴールドとアルティメイトピマをブレンドして作った糸だった。
たまたまそれを聞いて、これは使いたいと思って、プレステージの生地を作ることした。
ただ残糸だから量が決まっていて、今シーズンで使い切っておしまい。
次に作るとしたら別注で作るから値段が変わる。
残糸の良いところは、とても良い生地(高級素材)を他のTシャツとそれほど変わらなく、着てためすことができる。
プレステージの特徴は、
光沢感と色の吸収がいいから発色がきれい。
だから光にあたるとシルクに近いようなツヤ感が出るのが特徴。
吸収性がいいから、普通のラベンダーよりも発色と光沢があって、カットソーなんだけど着ていてすごくきれい。
絶妙な中色(ニュアンスカラー)というのがより効いていて、表面にうっすらと透明感があるように見える。
いい糸ほど白度が高いと言われていて、染色性が良くて、ぎゅっと色が入っていく。
くすんだ色でも鮮やかさがあり、色を楽しめる。
加工で白度を上げるのではなくて、自然の光沢感がある。
普通のゲージよりもゆるく編んだほうが、糸本来の気持ち良さを感じやすい
から、ちょいゆるめの生地にした。
細い糸を双糸(2本の糸を撚って1本にする)にすることで、密度が出るから、編みをゆるくしても見た目が綺麗で発色性が高くなる。
1枚でさらっと着てもきれいに見える生地です。
綺麗さと着心地のやわらかさ、両方を備えたTシャツ。
みなさんの記憶にのこる着心地となれば嬉しいです。