toggle
ブログ

とことこぽつぽつ よはく話1.前半

yohaku (余白)の仲間が、よはくの活動やそれにまつわる出来事を、聞いて伝える「とことこぽつぽつ よはく話」がはじまります。

僕(渡辺)は文をまとめることがあまり得意ではないから、この文章は僕を良く知る友人に話を聞いてもらって、その人に書いてもらった。
「君の言い方や言葉の感じをそのまま出した方が良い」とのことで、あたかも僕が書いたようになっているが、僕の言葉をその人に書いてもらった形となっている。
僕の言葉を、人を介して書き出してもらうこのスタイルがしっくりきそうなので、これから何度かこんな形で、ぽつぽつとお手紙を書く気持ちで届けたい。

まず、なぜこんな風に文章を書こうと思ったのか。
それは、純粋に余白の活動についてもっと伝えたいと思ったからだ。

服を着て楽しんでもらう。種を育てて一緒に喜ぶ。それだけではない方法で、もっと源泉となる部分を知ってもらいたい。

余白=服ではなく、余白は服にまつわる営み全てがひとつのプロジェクトなんだ、ということを伝えていきたいと思った。

やっていたのは「有限の資源をいかに無駄なく使い切るか」

僕の根本は結局全てここに行きつくのだと思う。

OEMを元々やっていたから、工場には常に残反があった。二度と使われない。工場もなかなか処分がしにくいので常にほったらかし。そして結果破棄。

でも僕にはやっぱり、常に目の前に物があるともったいないという感情が生まれた。僕が関わっていたのはある程度小さな規模の工場だったが、工場の人も僕と同じだった。つまり作る人は目の前に物があったら大事にする。

でもアパレルの人(=売る人)はそれを知らないし、言っても使わない、むしろ使う必要が無い。ここで気付いたのは、作る人・売る人が違うとギャップが生まれるということだった。

自分は作って、売って、自分でも着ているから、少し普通のアパレルとは違う景色が見えているのだと思う。

お互いが生きるため

今は2つ工場がある。どちらも秋田。
今主にお願いしている工場は4人と社長親子2人が働いていて、皆近所の方だ。

今縫製業は、ほとんど海外に行ってしまったから国内は振るわず、その工場も例外ではないから僕たちが残反をかき集めてお願いをしている。

僕たちも工場が無くなってしまったら作れない。彼らにお願いする一番の根本は「お互いが生きていくため」。
その先に、ものづくりの考え方やトレースという”意義”があると思う。売ることと作ること、2つのバランスがすごく大事だと思う。

意外と一番根本だったのかもしれないと気付いた「工場ベースのつくりかた」

綿花、種、畑…「服は植物」という視点の気づきはこれまでに沢山あった。
それが余白の「服」の大きな要素であることは間違いない。
でも、やりたいことを追い求めて動く中でこれまでを振り返ると、服を作るうえで「工場ベースの作り方」が大きく影響していたことに気付いた。

そもそも、僕は工場の人たちとちゃんとコミュニケーションを取りたかったから、自然と関わるのは小規模の工場だった。

仕事、つまり服を作る上での話だけではなくて、どうでも良い話や「いつ飯に行く?」という会話。お願いをしたときに言われる「これ出来ないよ」、「なんでこんなの作るの?」という本音の言葉。情緒があるから面白い。

もちろん、最初から工場の人たちが本音で話してくれていたわけではない。
ここに至る過程も、ちょっと特殊だったと思う。

僕はアパレルについて無知な状態でこの業界に入って、ずっと下請けだった。
知らないことだらけだったから、現場に行くしかなかった。

例えば、自分が受注し工場へ製造を依頼している量は、自分が指定した納期では明らかに厳しすぎるということも、工場へお願いしに行って初めて気づく、という具合だった。
間に合わないから、間に合わせるために自分も一緒になって手伝うしかないものだから、色んな工程を色んな人に聞きながら切ったり縫ったり、手を動かした。

でもそこで、工場の人たちの”やり易さ”や”やりにくさ”、その時の気持ち、個々人の知識、技術を知ることになった。
「やるっきゃない」の手段として最初は工場に入り込んでいたのに、今思えば貴重な機会になっていたのだととても思う。

そして、自分の服作りには一緒にすごしていた皆さんの要素が入っているのだと思うと何だか嬉しい。

そんなやりとりがあると、”自分が依頼した仕事によって、工場はこの人たちにお金を支払っているんだ”ということを自然に意識していた。

顔が見える、自分の知っているその範囲が経済圏だった。
お互い本音で話せるから、どちらも我慢や無理をしていなかったし、その方が続けられた。

一番大切なことは続けることだと思っているから、僕にとってやっぱり本音でお互いが話せること、正直で居られることは、とても大事なことなのかもしれない。

△ top