その土地で生まれた技術や、個人で活動してる方々がコツコツと毎日の日常の中で染めたり織ったり縫ったり育んでいる人と一緒に作ることが産直。日本の感性を現代の日常着として残していきたい。
草木染め 藍染めのワンピース × アカネ染めのカーディガン
産直シリーズは、コツコツと生産者の方に合わせたプロダクトです
多分、最初に産直と意識して作ったわけではないが、群馬県桐生市にある工房風花の板野さんとの出会いから始まった
板野さんは草木を染めたり自分で機を作り色々な方に体験と学びとして教えている方です。
工房風花
最初に産直として作ったのは桐生のシルクの糸で作った横編みの試編みです。板野さんから糸を買い、秋田県で編んでもらいました。そのとき、秋田のニット工場の社長から電話があり、とても懐かしい糸だと聞きました。
その社長は福島県の出身でお母さんが蚕の世話をしながら、いつも家で糸を引いていたそうで、その時の、蚕の糸のキュッキュッとした感触を思い出したそうです。
桐生で作っている蚕の糸
産直は日本にあたりまえにあった技術というか、日常に溶けたんだ毎日の日常だったことを思い出す機会があります。
今までに、作ったモノやサンプルで終わったモノを合わせると何点つくったのだろう。草木、藍染め、インディゴ染め、蚕、織物、産地の糸。今後一つ一つ思い出しながらブログに書き溜めていこうと思います。
蛙印さんで作った本藍の板締めワンピース
金井工芸さんで染めてもらった泥染めTシャツ
備後節織のパンツ
朝、起きたら
さむかった
手足が顔が冷たくなっていた
目が覚めているのか寝ているのかわからなかった
今、ここにいることが不思議だった
毎日の毎日が僕の中で楽しくもなく悲しくもない日々
明日の朝方、呼吸をするのはだれ
僕の精一杯を胸に
息をはくと
たばこをすったように白く煙がでる
それは
いつかきっと、煙は天高く、宇宙へいくのだと思っていた
僕は宇宙から君を見下ろす
冷たくなったからだ
いつかきっと、誰かが僕を起こしてくれる
毎日の毎日の内側から
定番は再生シリーズでやって気が付いたことから生まれたプロダクトです
定番シリーズのセットアップ
生地を残さないように作る
同じ形モノを縫い続けることで、縫製の効率があがる
付属品(テープや紐、ファスナー)など白に統一することで、ロスがでない
上記3点をやることで工場に負担がかからないように製造コストが圧縮できる
現在、定番で作っているものは、シンプルな日常着です
形や素材は日常生活するうえでストレスがかからないように考えて作っています
そのため、生地は全てオリジナルで作っています
茶綿(オーガニックコットン)と吊編み機を使った生地づくりをしています
生地を作っているのは、すべて和歌山県です
シンカー機 茶綿のシリーズは全てシンカー機を使用
私の経験の中の服を作る上で、定番を作るのが一番難しいです
素材や付属品の値段の高騰や廃業、縫製で使えてたミシンが使えなくなったり
同じ糸番手の同じ編み、染色をした時のブレ
などなど、いろいろ綿の質だったり人だったり、時代の流れで変化していく中で
動くものを、同じように安定して作るというのはとても難しいです
そのため、ある程度曖昧にやっている部分もあります
定番でありながら、安定したモノではなく、不安定なモノをつくるようにしています。ちょっと自分でもよくわかないことを言っていますが。そう、余白は安定の中の不安定を作るようにしてます。ますます、よくわからんな。まあいいや。
綿は作物です。時期や取れる場所で糸の質は毎回違います。編み機も使う人で違います。そういう、自然らしい部分が残っているものが私にとって良いものだと感じています。そして、それらが心地よいものに変換されていくのではと思って作っています。
モデルのゆりっぺ
定番を作るときは同じ人に連絡をして、同じように無駄話をして、すべて同じにみえて違うかたちの服が出来上がる。そして、それは着てくれる人の喜びに繋がるのではとおぼろげに考えてます。
茶綿の裏毛シリーズ
今月から働いてくれる空さんが書いてくれた文章を最後に引用します
服作りに関わる人たちと
これこらもこの先もつながっていきたいと思った
だから、余白の定番を考えた
そんな人たちの生み出す服を着るということは
この循環を途切らさないということ。
この循環に関わるということ
な気がします
合ってるかな
まさにです。ありがたや。
再生シリーズはかれこれ12、3年目?
最初に始めたきっかけは別に再生シリーズとは呼んではいなかった
ただ、残った生地が工場の倉庫に眠っていて、倉庫の整理に行ったときに、捨てていたのが嫌だった。それから、自分で ブランドをやりたいと思って、売るものを考えていた時、工場で捨てていた生地が目に入った、勿体ないから、これを使おうと思っただけ 。それがはじまり。
秋田にある縫製工場
工場の倉庫に余った生地は、どんどん山のように積み重なっていく
特にそれらの生地はまた使われることは殆どなかった
倉庫がパンパンになったら、あとは捨てるだけ
昔は月に一度秋田の工場に行って、倉庫の整理をしていた
使う生地と捨てる生地を分けに選別をするため
殆どが使わない捨てる生地だった
そのたびに、倉庫の中で眠っている生地がなんだか寂しそうに見えた
倉庫にある残った生地 いろいろと混ざっている
感傷的になっていたのもあるのかもしれないが
それは別にしたとしても、やっぱり勿体ないから使った
あとはお金もたいして無かったし
売れない服を作ってまた捨ててしまうのも馬鹿らしいので
ある程度、コストも落とせるからという現実的なこともあった
まあ、どちらにしても使うことにした
残った生地を集めている倉庫
軽トラに生地を積んで裁断場所へ
仕分けをするのに気合を入れて袖をめくる渡辺
生地の幅や厚みで仕分けする
仕分けをして山にしていく
素材と型で山を分けておく
残った生地(通称残反)で、いろいろな服を作った
そしてそれららのいろいろな服から沢山のことを学んだ
残反を作るうえでの課題 ↓
- 生地によって生地幅が違うので裁断をするのが大変
- 生地の色が沢山あるから色ごとにミシン糸の色を変えるが大変
- 生地によって厚みと伸縮性でミシン調整が難しい
- 素材と形で合わないものができてしまった。(着れない、壊れやすいなど)
1~4の解決方法 ↓
- 工場に行って生地幅と素材を仕分けする
- 色を工場に残っているミシン糸で配色として使う
- 生地の厚みと伸縮性で、形を4型に素材と型が合うものに絞った
- 3の作る上での課題と着る上での機能が重なることがわかり形も4型に絞った
ミシン糸はケースで買うので、使わなくなった糸は余ってしまいます
そんなあれこれがあって今の再生シリーズができました
レギンス、旅レギンス、ドバイパンツ、ストールが生まれました
作りながら、そして使いながら、修正をしながら作っていきます。